第1469話:シュペル・カルイント~覚えゲー~

「そこ、抜けるぞ」

「うわぁ!」

 指摘された場所の床が抜けた。

 幸い怪我はしなく、驚いただけに済んだが……

「なんで抜けるってわかったんですか?」

 見た目だけでは全くわからなかったと思う、他と見た目は完全に同じだったはずだ。

「なんでって……、俺も以前そこで抜けたことがあるからだよ」

「? おかしくないですか?」

「何がさ」

 おかしいだろ、だって

「一回抜けて直したところはもうしばらくは抜けないものでしょう?」

 他の床との差のようなものもなかったし、それほどに完全に修理されているのにそこだけ再び抜けるなんてことがあるだろうか。

「そりゃああるよ。ここは覚えゲーの館なんだから」

 覚えゲーの館。

 つまりは覚えゲー、理不尽な予測不能トラップが盛られたステージを無限にリトライしながらギミックを全て覚えて回避し続けステージクリアを目指すというジャンルのゲームのステージがこの世界に何らかの原因で現れたのがここというわけだ。

「覚えゲーだから一回外に出るとまた全てのギミックは直るし、基本的にギミックがある場所は見てもわからない」

「なんでこんな場所に……」

「まぁ、温情かシステムか、それとも何らかの都合があるのか、ここのギミックは即死系のものは無いし、万が一普通なら死ぬようなギミックでもスタート地点に戻るだけで済んでるんだ。たまに同じぐらい理不尽で普通に死ぬ奴もあるからな。それに、経験者である俺も一緒にいるんだ。かなり恵まれているぞ」

「恵まれているならこんなところに閉じ込められたくなかった……」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る