第1468話:フレップ・ガリクト~未到達なイフ~
『あなたは生涯を全うしたのですね』
それだけが書かれた手紙が届いた。
差出人は書いてない。
確かに私は人生の最後までたどり着くことができたが、この差出人はそれを指摘して一体何が目的なんだろうか。
全くわからない。
まぁ、きっと何か私にはわからない視点、方向性からの嫌がらせの類だろう。
気にすることでもないな。
『私たちは、あなたをになれなかった者』
翌日、さらに追加の手紙が届いていた。
私たち……? つまりは差出人は複数人いるということかな?
それにしても私になれなかった者?
どういう意味だろう? 別に人に羨まれるような人生は送ってこなかったと思うけど……、むしろ死にそうな目に遭うことが多かった大変な人生だと思う。
『私たちはもう消えます、最後にあなたに存在を知ってほしかった』
翌日の手紙はこうだった。
消える? 死ぬのだろうか。
なんだかこの文章だと私に恨みがある人達というわけではなさそうな感じだ。
しかし最後に私になぜ知られたかったのだろう。別に有名人というわけでもないはずだけど……
『ありがとう、まだ何人かは残るのでそのうち会うこともあるかもしれません 届かなかったフレップ・ガリクト』
どうやらこれで最後の手紙らしい。
差出人の名前は変な形容詞の付いた私の名前だ。
届かなかった……?
いったいそれは何を指して届かなかったのだろう、そして私を名乗る彼らはいったい何者だったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます