第1447話:オフリ・シェガブ~通信開始~

「コール、コール、応答せよ、だめか……」

 自分で構築した通信をテストしているのだが、繋がらない。

 なんど構築を見直してテストを重ねてもだめだ、どうやってもつながらない。

「何がダメなんだ……?」

 電波での通信を試みているんだが、やはり信頼性の高い物理ケーブルにするべきなのだろうか。

 しかし、さすがにそんなものを用意する金銭的余裕はない。

 電波の出力は十分なはずだし、プロトコルもしっかり練ってちゃんとしたものができているはずだ。

 通信機も一から構造を設計して丁寧に作ったものだし、家の周囲には電波を邪魔するような材質の大きな建物も強力な電磁波を出す鉱山も存在していない。

 なのになぜ、なぜ誰も俺からの通信を受け取ってくれないんだ……!!!

 俺が嫌われているのか……!?

 ここ数年ずっと家にこもりっぱなしで誰とも交流をすることなく通信機を作り続けていたのがよくなかったのか……?

 そうだ、そんな生活をずっと続けていたから俺には友達がいないんだ……

 だから誰にも受信役を頼むこともできずにこうやって強力な電波を発信して「誰か受け取ってくれないかな~」なんて言うしかできないんだ……!

 頼む……誰か応答してくれ……!

 その時、受信機が鳴りだした。

 何かを受信している……!

 この通信機に適切なプロトコルで……!

 受信した旨の信号を返し、受話器を上げる。

「もしもし……?」

『てめーか! 最近このあたりでバリバリバリバリ電波垂れ流してるのは! うるせぇ―んだよ! ようやくプロトコル解析して文句を言ってやれたぜ! じゃあな! 二度とするなよ!』

 これは生身に電波を送受信する能力を持つ人か! やった! ついに受け取ってもらえた! やったー!!!

「受信してくれてありがとうございます!!!」

『二度とするなっていったよなぁー!?』

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