第1439話:ペルレパ・フテキティオ~派生存在~

「僕を見ませんでしたか?」

「今目の前にいるけど、君誰?」

「いや僕じゃなくて、ええと僕なんだけどこの僕じゃない僕で……」

「同じ顔をした他人っていうやつか?」

「そうですそうです、それです! 何人かの僕と一緒に来ていたんですけど、僕ちょっとドジな僕ではぐれちゃって……」

「それは大変だね、でも見てないから見かけたら君が探していたことを伝えておくよ」

「ありがとうございます!」

 そう言うと彼は足早に去っていった、ちょくちょくこっちを振り返りながらお辞儀をして去っていくので転んだ。

 確かにドジだ。

 同じ顔をしているらしいし、複数人で行動しているっぽいから見かけたらすぐにわかるだろう。

「あ、あの……」

「なんでしょう、ってさっきの?」

「僕に会ったんですか!?」

「あ、ああ。もしかして彼の? えぇと、なんて言うんだ、お仲間ってやつでいいのかな?」

「そうです、僕は少し心配症の僕です。はぐれた彼のことが心配で探しに来たんですけど……」

「そっか、さっきの彼はあっちへ走っていったけど。まだあんまり遠くへ入ってないんじゃないかな」

「ありがとうございます! ではまた」

 そう言うとさっきの彼と同じ方向へ走っていった。

 同じなのは顔と丁寧加減ぐらいか?

 しかし、また一人だったな……

 何人かで来ているらしいのに一人ではぐれた奴のことが心配になって一人で離れてきてどうするんだ……

「あの」

「また君か、ドジな君と心配性な君ならあっちへいったよ」

「ありがとうございます」

 そうお礼だけ言ってさっさと走って行ってしまった。

 さすがに三人目はもうほとんど確認しなくても彼の仲間だとわかるし正直最初からどうでもよかった。

 同じ顔の人がいるのか~と興味ある感じではあったが実は二人目が来たときから「顔が似てる兄弟とあんまり変わらないな」なんて見ふたもないことを感じていた。

 三人目はちょっと目つきが鋭いから少し怒りっぽい彼なのだろう。

 なるほど心配症な彼が一人でドジな彼を探しに行くのもわかる。

「あのー」

「あっちへ行ったよ」

 四人目かぁ……

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