第1440話:フシ・ベルドゥ~錬金術~
「この錬金術師というのは科学者とは違うものなのか?」
仕事の面接を受けに来た人の経歴書に見慣れない職歴が書いてあった。
「ああ、錬金術師か。基本的に科学者と同じだと思うが……、どうなんだろうな。面談の時に詳しく聞いてみることにしようか」
錬金術……科学変化を使った物質変化で価値あるものを生み出そうとして科学を発展させた人々だと聞いたことがある。
ならばそれは科学者だと思うのだが……、気取った言い方をしているだけなのかもしれない。
「錬金術というのは異なる性質の物質を組み合わせることにより全く新しい性質の物質に変化させる技術のことを言います」
後日、面接にて彼の話を聞いている。
「それを科学というのでは……?」
「既存の科学では証明できないことも多く使用し、魔法と科学のあいの子のような技術なんですよ、錬金術って言うのは!」
「へぇ、僕の知っている錬金術とはだいぶ違うな。これも世界による違いなのかな」
「似たような概念を1つの呼び方にまとめてしまうことはよくある話だと聞きますね」
確かに、いろんな文化圏の人に触れるたびに話が通じるかどうかの手探り期間が必要になる程度にはそうかもしれない。
「私のやってる錬金術の例を見せますと……、このコインにこっちのライターから発火の属性をこう……」
そう説明しながらライターを何やらしてコインに混ぜ込んだ。
「こうするとですね、コインが発火の属性を得て火打石になるんですよ」
そうすると、何やら鉱石になった。
「これが元々コインだったんですか……?」
「うん、そうだよ。まだ名前属性は書き換えてないから、名前を参照するとコインのままになってると思うけど」
常識が違う……!
これが錬金術師か……
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