第1399話:イウレ・ダカツキ~封筒~

「これは……?」

 気が向いたので家のポストに目を向けたら、何かが挟まっているのを見つけた。

 それは一つの封筒、今どきこんなもので何を通達しようというのか。

 表も裏も確認したところ差出人も宛名も書かれていない。

 しかるべき郵送機関を通してポストに入れられたものではないことが分かる。

 いたずらか、それとも何かの招待か。

 たまにそういう封筒がポストに入っているという話は聞いたことがある。

 様々な人間の価値観考え方倫理を試し収集するために無差別に人を集めて特殊なゲームをさせるとう。

 都市伝説の類だと思っていたが、実際に封筒が届いているということはそういうことなのだろう。

 うんうん、とうなずきながら封筒を見る。

 そういうゲームの招待状が入った封筒にしては安っぽいような気もするが、まぁそれには事情というものがあるのだろう。

 とりあえず開けてみよう。

 中からで出てきたのは「明日、ターミナル3番ゲート前にて」と書かれた紙。

 この場所へ行くことで例のゲームとやらに参加できるのだろう。

 暇だし行ってみることにしよう。


 翌日、ターミナル3番ゲートの前に1日中いた物の誰かが迎えに来ることは無かった。


「おかしいなぁ、じゃあこの封筒はただのいたずらか」

 よくよく考えてみたらそんなゲームの招待状がこんなしょぼい紙封筒なんかに入ってポストに雑に突っ込まれているわけがないんだよな。

 じゃあ誰がどういう目的で俺をターミナル3番ゲート前に誘い、何もしなかったのか。

 そこが謎なんだが……、そういえばこの封筒はいつからポストに突っ込まれていたんだろうか。

 手紙には翌日と書いてあったが、投函した日の翌日と考えるのが自然だろう。

 さて、ポストを前回確認したのは何年前のことだっただろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る