第1400話:テイレイ・カルハ~天突く街~

 天を突くほど高い塔が見える。

 それが一棟ではなく、複数、いくつも集まって並んでいる。

 それは互いに空中で接続され、複雑な構造になっている。

 そんな塔が空高くそびえ立っているのだ。

「壮観やなぁ~、これどんぐらい高いんやろか、【空の向こう】まで届いてるんやろか?」

「登ってみればわかるんじゃないか?」

「せやなぁ~」

「しかし、さっきまであんなところにあんなでっかい塔なんて見えんかったけどなぁ」

「あそこは景観に配慮してるからな、他の景観に写り込まないように一定の距離より遠い場所からは見えないようになってるらしいんだ」

「ほぉ~ 変なことしとるなぁ」


 塔の下まで到着して上を見ても果ては見えない。

「さっき遠くから見てたよりも高く見えるなぁ、どっから入るんや?」

「あっちに入棟ゲートがあるよ、観光って言えば止められることなく入れると思う。荷物チェックはあるけどね」

「ほぉん」

 周りを見回しても塔以外は何もない。

 意外に思いながらも案内されて塔の中へ入る。

 中では個々で審査があるようで、分けられて受付に通る。

「目的は?」

 あらかじめ言われていたように「観光です」と答えたら手荷物だけコンベアの上に乗せるように指示されて中に通された。

「問題なく入れただろ?」

「あぁ、しかし塔の中とは思えんな……」

 天井が高く広い、そして明るい。

「この塔は100階吹き抜けになってるからな、目的は14046階だ、こっちから上がれるから」

「それはいったい何階なんや……?」

 階数を表す数字としては圧倒的に大きすぎる数を聞いた気がしたが、どれだけかかるものなのだろう。

「3日ぐらいかかるよ。まだここはこの街の端で、目的地は中央だ。横に広さは求めず、国を縦に積んだみたいなものだからさ、塔の中での移動は街をいくつも超えるぐらいの時間がかかるものなのさ」

「なんか感覚がかしくなりそうやな、これは……」

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