第1391話:ピツカ~検定~

「6級!」

 検定場に判定の声が響く。

 今日はみんな程度が低い。

 先ほどから見ていれば5級だ6級だのばかりで本当に程度が低い。

 しかしもしかしたら受験生の程度が低いのではなく、今日の検定員の判定が厳しいのかもしれない。

 他の奴がダメだからと言って驕るわけにはいかない。

 私の番はまだ先の先、もう少し様子をみることにしよう。

 次の受験者なら知っている、あいつなら2級ぐらい軽いはずだ。

 さてどうだろう。


 なんと、あいつ4級だとよ。

 今日の検定は想定よりやはり難しいらしい。

 というか、今日が特別に難しいというのは検定としてどうなんだろう、基準が何も定まっていない。

 うまいことそこを突いて今回の検定を無効にできないものか、無理か。

 他の日の割と簡単な日とかにいい級出してノルマ達成していることを考えると他の日の級まで下げられかねない。

 次々と5級だったり6級だったりひどいのでは7だ8だの実質落第な判定が響き、ようやく私の番が来た。

「さて、よろしくお願いします」

 挨拶をして検定内容を確認する。

 確かに難しい内容だ、これなら普段であるならば普通に2級、調子が良ければ1級の評価を取れる。

 それだけこの検定員の評価が厳しいということだろう。

 しかしこの検定員、見ない顔だ。

 もしかしたらこの検定員は偽物で、ただ適当に低い級を叫んでいるだけで本当の検定員は裏でメモしているのではないだろうか。


 結果としてそんなことはなく、調子もよいとは言えず4級という過去の自分の成績としては最低の評価をもらうことになったのだった。

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