第1390話:ヒエリ・トーレス~変装~
「なぁ、これで本当に変装できてるのか?」
「ああ、もちろんさ。彼らは個人を区別する際に見ているのは目元だけだからね。サングラスさえかけてしまえば彼らは個人を判断することができない。たとえ彼らとは違う種族であっても、違いがわからないのさ」
先に少し多種族の人と諍いを起こしたのだが、仲間が報復しに行こうというので変装して彼らを尾行しているのだ。
しかし、やはりサングラスだけというのは不安になる。
「そんな心配するなって、あいつら俺のこと見つけたら絶対に殴りかかってくると思うよな?」
「まぁさっきそれだけのことしたからね、何する気だ?」
スッとサングラスをつけたまま前に出ると彼らの方へすすッと寄って行ってうち一人のポケットから
そして、それをあろうことか本人に見せた。
「お兄さんこれ落としましたよ」と。
どうやら少し不審がられているようだが、お礼まで言われて見逃された。
「な?」
「な? じゃあないよ、なんてことするんだ」
絶対にバレないという自身があってもすごい度胸だ、僕には怨恨無き他人であってもスリ盗ったものをその場で「落としてましたよ」なんて言って渡すことは絶対にできない。
「ただの善意の人も見えるのにめちゃくちゃ不審がられていたのは?」
「そりゃあサングラスかけてたら完全に誰かわからないのに不審がらない奴はいねぇよ。さっきのは善意の人と誰だこいつの揺れ動く顔だったわけだ」
「よくそんな確証薄いことやるなぁお前は」
このサングラスも一つ恨みのある相手から不審者にランクダウンさせる程度の効果しかないじゃないか。
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