第1370話:ウレギ・ファレイ~解放~

「こんなところまで降りてきてどうするんですか」

 言われるままに梯子を下りてきたけど、未だに現状がわかっていない。

「戦力が全員出払っている時に侵攻の兆候が発生したからね、秘蔵戦力ってやつを解放しに行くんだよ」

 危険生物が多数生息する地区を囲むように造られたうちの基地には数多くの戦力が在籍しているが、いろいろな地域で発生する危険生物に対抗するために派遣されていくことがある。

「秘蔵戦力……? 普段は戦わないんですか?」

「まぁ、なんというか、難アリってやつでね。彼は普段、この地下に封印されているんだよ」

 そんな人がいたのか……、全然知らなかった。

 しかしどんな性格をしていたら、こんな地下の深くに封印されるんだろうか……。

「さぁて、ここだ。おとなしく従ってくれているといいけれど……」

 地下のパイプスぺ―スや梯子をいくつも下ってきて、ずいぶん普通の扉があるものだ。

「どんな人なんですか?」

「うーん、一言で言うなら、協調性の無い奴」

「協調性が無いだけでこんな地下深くに……!?」

「まぁ、それだけのことってことさ、さぁ開けるぞ」

「え、まだ心の用意が」

「そんなものはいらないよ」

 そうして、扉は開かれた。

 扉の向こうは普通の部屋で、封印とは一体何のことだったのかと拍子抜けするほどだった。

 そもそも封印とは言うものの、扉に鍵もかかっていなかった、内側からは開かないとかそういう構造でもなさそうだ。

「おや。何の用だい?」

「私がここに来る用事なんて一つしかないだろう、さっさと用意しろ」

「はいはい、えーと、武器は……」

「武器も装備も全部上にある、ここを閉じる用意をしろと言ってるんだよ。さっさと」

 うん? イメージとは少し乖離があるな……

 割りと普通の人じゃないか……?

 なんでこんな人がこんな地下深くに封印されているんだ?

 封印っていうのもよくわからないが。

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