第1369話:ヒテギ・ハシラズ~餌やり~
ベンチに座って鳩を見る、知っている鳩とは細部が異なる気もするが公園に群れている小型の鳥はみんな鳩でいい。
そうやって鳩にちぎったパンくずを投げてやるとそこに群がってきてなかなかに楽しいんだ。
こう、お前らの終着するパンくずを俺は塊で持っているんだぞ、という優越感があるし、それを好きなバランスで小分けして今密集している場所とは別の場所に放ることで群れをコントロールできる万能感。
人に話すと暗い趣味だと言われることが多いが、いい趣味だよ。
俺はストレスを解消し、鳩は餌にありつける。
鳩共も俺のストレス解消に付き合わされているとは夢にも思っていないだろう。
餌が食えればそれでいいだろうし。
さてさらに一つまみ撒く。
群れがずわわーと移動して、俺はそれを眺める。
そうしていると、一羽の鳩がそれについていかずに俺を見ていた。
なんだ、もしかして俺が持っている塊に気づいたか?
ビニールの袋にしまってあるから気付いてもとびかかってくるようなことはないと思うが……
しばらく見ていると鳩は群れの中に紛れていった。
なんだったんだ、あの鳩は……
あの鳩を見て、ふと何かに気づき空を見る。
空は人無き地ではないが、いるならそこだと思ったからだ。
人にわかりやすい餌をちらつかせて流行を作ってそれを眺める神という存在が。
きっと、あの鳩もそういう思いだったのだろう。
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