「釣れない」

「そうだな、俺はめちゃくちゃ釣れてるから場所じゃなくてお前の釣りの腕が悪い」

「そうなんだよなぁ、なんか特別な餌でも使ってるのかぁ？」

「お前と同じ餌同じ竿だよ。むしろなんでお前がそんなに釣れないかわからんね。お、また釣れた」

「どうしてだろうなぁ～コツを教えてくれよ～」

「ただ糸を垂らして掛かったら釣るだけだよ、こうやってさ」

「なんでまた掛かってるんだよ、さっき釣った奴外さずに入れたんじゃないのか？」

「そんな狡いことするかよ、普通に釣りを楽しんでるんだよ、ほれこのかごの中見てみろよ、いっぱいいるだろう？」

「ぐぬぬ……」

「場所を交代してみようか」

「おう」

「だめだ釣れない、やっぱりこの辺には魚はいない」

「いや俺は釣れてるから……」

「そうなんだよなぁ、竿交換だ」

「いいよ」

「竿交換しても変わらないな？」

「なんでだー！？　餌は同じ箱から使ってるのに……！　違うのはなんだ！？」

「出身が違うぐらいだよなぁ」

「関係ないだろ、釣りをしてるのはいまここなんだから」

「だなぁ、全然わからん。やっぱりこの海には魚がいなくてお前は変なあ空間から魚を引っ張ってきてるんじゃないのか？」

「釣りなんて魚が釣れるポイントに糸を垂らすだけでいいんだからそんな摩訶不思議なことするわけないだろ」

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