第1278話:スガラ・ヨウ~さかのぼり交換~

「めずらしいね、こんなものを欲しがる人なんて」

「いやぁ、どうしても必要になりまして、交換していただきありがとうございます」

「別にあげてもよかったんだけど、交換でって言うからね、君がくれたこれもちょうどほしかったものだし、こちらとしても助かったよ」

「では、これで」

 私には他人が何を欲しがっているか一つだけわかる能力がある。

 それを使って物々交換をして望みの物を手に入れてきたのだが、今欲しいものがどうしても手に入らないのだ。

 対価として相手が望んでいるものが特殊なもので、それを手に入れるのも一苦労する。

 そんなこんなで今私がしているのは、目当ての物を持っている人の欲しい物を持っている人が欲しい物を持っている人が欲しい物を……と10ステップ分ぐらいの物々交換を計画している。

 途中、金銭で手に入るものがあればよかったんだけど、無い。

 金銭で購入できないものばかりだが、今交換したもののように他に無いだけでゴミ同然の物もいくつか混じっている。

 それでも対価には相手の欲しがっている物を用意するんだ。

 それは矜持とかそういうものが理由ではない、相手が欲しがっている物がわかる能力を利用して物々交換をしているというのに、相手対してそれを対価に用いなかった場合にその報いを受けるだろうということは想像に難くないからだ。

 さて、次はこの何に使うかわからないゴミ同然の品を欲しがっている人のところに持っていくか……

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