第1259話:ペイグ・リドルド~工具箱~

「工具箱ってどこに置いてあったっけ?」

「知りませんよ、普段使わないじゃないですかそんなもの」

「それはそうなんだけどさ、だいたいあれが必要な時って緊急事態じゃないか。普段は意識してなくてもやっぱりある場所は把握しておかないとね」

「それはそうですけど」

「だからできるだけちゃんと場所を把握しておくべきだと思うんだ、いい機会だしさ」

「いい機会とは?」

「今、まさに必要になっているってこと。この機に場所をしっかり把握しておくことにしよう」

「なるほど、細かい場所はわかりませんが倉庫にあるはずですよ」

「倉庫だね、ありがとう」


「見つかったけれどアレじゃあだめだ」

「なぜ? もしかして壊れていたりしましたか?」

「いや、箱の中身がどこかへ行ってしまっていた、たぶん以前使った時に中身を戻さずに倉庫に戻したんだろう」

「前に使ったのはあなたですよ」

「そうだったかな?」

「そうです、私は一度も使ったことは無いですから。ところで工具箱を必要としているということは緊急性のある事態なのでしょう? ずいぶんと悠長にしていますが大丈夫なのですか?」

「蛇口が噴水になっているだけさ、そんなに急ぐものでもないだろうから必要な工具をゆったり探してみるよ、たぶん倉庫にあるよね?」

「今すぐ外に買いにってください、ダッシュで」

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