第1255話:ベイ-ガイチャ~願いの魔人~
「さぁ、願いを言いなさい」
探掘者を始めて最初に潜った遺跡で見つけてしまったのは願いの魔人が封印がされている匣。
それを開けてしまったがために願いを叶えてくれる魔人を呼び起こしてしまった。
開けてからしばらく話しているが開けるべきではなかったと後悔している。
「よく私の封印を解きました、願いを叶えましょう」
遺跡で隠し扉を抜けた先の隠し部屋にあった匣を開けた私の前に現れたのは願いの魔人。
なんでも、願いを叶えてくれるという。
「私を一流の探掘者にしてください!」
「ダメです」
「ダメとかあるんだ」
「はいもちろん。私は願いの魔人として願いを叶えることであなたに幸せになってほしいのです。なので、叶えることであなたが幸せにならない願いなど叶えるわけにはいきません」
「一流の探掘者になることは私の幸せにならない?」
「はい、今ここで私の力で叶えても幸せにはなりません」
「なるほど……、例えば5000兆パソくださいみたいなのは」
「あなたのためにはなりません」
これ、めんどくさいやつだ……
私のためを思ってますみたいな顔して短期的な願いや苦難の道をショートカットするような願い事は聞いてくれないやつだ。
これ、めんどくさすぎるし結局私が本当に幸せになれる願い事ってなんだよって感じだしそれをお前が決めるのかよとかそんな感じのイライラが発生していく。
これは、私が幸せになるために今とるべき行動とは……
「私の願い事、今すべきことは! こう!」
持っていた匣の蓋を魔人にぶつけるようにして閉じた。
魔人はその場から消え、恐らく再び封印されたのだろう。
初心者向けと称されるようなレベルの遺跡でこんな願いを叶えてくれる魔人の匣なんて超レアアイテムが残ってる理由がなんとなく理解できた。
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