第1240話:クアンパ・ド・ドゥ~愛玩動物~

「これが私のペットのピパチョです」

「へぇ、え!? それペット……?」

 友人がペットの写真と称して見せてくれた小動物、やけに見覚えがある。

 というか見覚えがあるという話ではない、前世の知り合いに見えるが……、せめて人違いであってほしい。

「ちょっと、一回そのピパチョちゃん? に会わせてもらってもいいかな?」

「いいですよ~」

 一回、確かめに行かなければならないという決意を固め、アポを取った。


「いらっしゃいませ~」

 約束の日、彼女に連れられて彼女の家にやってきた。

 おおよそ友人のペットを会いに来た時の面持ちではないことを自覚しながらも、中に招き入れられる。

「ピパチョ~、お客さん来たよ~」

「きゅわーん」

 廊下の先から聞き覚えがある声と比べるとずいぶんと高めだが、確かに知っている声で信じられないぐらい甘えた声が聞こえてきた。

 タシタシタシタシという、肉球でフローリングを叩く音が聞こえてそれが目の前に飛び出して来て、目が合った。

 途端、足を滑らせたのか走ってきたその勢いのままにずしゃあと滑って壁にぶつかっていった。

「かわいいでしょ?」

「あ、ええ、まぁ」

 実際に見て、確信した。

 それは確実に前世の友人。ウスパロだ……。

 何してんだこんなところで……


 部屋に上がり、友人は飲み物を用意しに行くと言って一旦出て行った。

「おい、ウスパロ……お前……」

「何も言うな……」

「いやしかし……」

 気まずい沈黙が流れた……

「お待たせ~」

 友人が戻って来た。

 ウスパロは今までの気まずい表情を隠し、明るい笑顔できゅわきゅわ言い始めた。

 見てられんな……

「すまない、来たばかりですまないが、今日は別に用事があったのを思い出した帰らせてもらう」

 さすがに、これはキツイ……

「またウス、いやピパチョとは話にくるよ……」

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