第1239話:ヌリャ・グルルク~爆竹林~

「なんだって!!!???」

「パパパパァン」

 ダメだ、周りから響く爆発音で何にも聞こえない。

 身振りで一度撤退を示し、林を出る。

「ヤバい林だなありゃあ」

 耳栓を外して作戦会議を始める。

「爆竹林、爆竹っていう花火と竹林の概念が何らかの拍子に変な結合をして生まれた爆ぜる竹林」

「説明ありがとう、しかしそれはわかってるんだがアレをどうすりゃあいいんだ?」

「無害化、もしくは根こそぎの根絶が今回の依頼内容」

 そう、あの林は危険度が高く何の準備もなく踏み込めば火傷裂傷その他もろもろの大けがは避けられず、その際の爆発音が結構遠くまで響くので迷惑している人が多くいる。

 それをなんとかして爆発しないようにするとか、竹林ごと消して欲しいというのが今回の依頼の概要だ。

 という話は一切の事前説明に無く単純な竹林整備の依頼、多少の危険物が確認されているのでと支給された防護服のみであの竹林を攻略してこいという話であった。

「しかし、手順書みたいなのもないのかね、ああいうのは突然変異とかで発生したとは言っても前例の一つぐらいあってもいいだろう?」

「検索、前例が4件ヒット」

「お、どんなふうにアレをなんとかしたんだ?」

「ケース1、空間圧縮術を用いた封印、燃料利用」

「なるほど、あの一帯を縮めて爆発する性質を活かして燃料に、しかし俺たちにはそんな力はない、次は?」

「ケース2、全爆竹の爆発に耐えながらの強引な伐採、その後根をすべて掘り起こしての根絶」

「力業だなぁ、俺とお前でできるとは思えないけど、次」

「ケース3、エリアスワップを用いた無害空間との入れかえ、海底と入れ替えたことでその一帯に大量の海水が溢れ出し後処理が大変だったという記録」

「心象悪くなる奴だよなぁ、まぁもとよりそんな能力がないからできないんだが、次……で最後か。どうか使える前例であってくれ……」

「ケース4、これは根絶の記録ではありませんね」

「だめか……」

「防音フィールドを周りに張り、試験場としての運用をすることにしたようです。安定して爆発を受けられるので耐久試験として優秀とみられているようです」

「それならここもそうしてしまえば……!」

「ここがその跡地です、試験場としての運用を終了したので根絶無害化を計画したようですね……、防音フィールドの維持もなんらかの運用をしないのであれば無視して続けられるようなコストではないという判断のようです」

 八方ふさがりすぎる……

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