第1214話:ジウ・トロト~雪上行動~

「思いの外雪が深いのでスキーを用意したぞ」

「どこから……?」

 山小屋で一晩明かしたら雪がめちゃくちゃ積もっていてどうしたものかと思っていたら上官がどこからともなくスキーを用意してきた。

「その辺の木を切り倒して削り出した、まぁ加工精度には自信がある、お前も知ってるだろう?」

「ええ、まぁ」

 この上官、だいたいどういう状況でもこうやって何とかする道具をその辺にある素材で作り上げてくる。

 崖越えをするときにはその辺の草を編んでロープを、川を渡る時にはイカダを、高出力電磁場を超えるときにはどこから素材を調達してきたのか絶縁マントを。

 そんな感じでとりあえず道が無ければそこを超えるための道具を手作りしてくるのが彼女なのだが、今回ばかりは一つ問題がある。

「すみません。実は僕、スキー乗れないんです……」

「……なるほど、ならば今から練習をして乗れるようにするのと、そりに乗って引っ張られるのどちらがいい? 私としては乗れるようになるのを推奨するが、スキーでそりを曳くというのもなかなか趣があるな?」

「乗れるように練習させていただきます」

「よろしい、じゃあまずは足に固定するところからだな、さすがに固定具は用意できないから紐でくくる形になる、最悪足が折れるが、そうなったらそりで引いてやるから安心すると言い」

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