第1213話:ファイガク・シルード~足りないのは甘味~

「お腹空いたんだけど」

「じゃあ軽くつまめるものでも作るよ」

「嫌、シルードの作るのってどれもしょっぱいんだもの」

「塩味は美味いだろ」

「それに異論はないんだけど、今欲しいのは塩味よりも甘味なの!」

「おせんべいとか」

「ケーキ! 又はそれに類するもの!」

「わかりましたよ、買ってこればいいんだろう」

「その通り、あったかい甘いのがいいな」

「はいはい」



「買いに出てきたはいいものの、何を買っていくかな……」

 トリアスの好みはずっと一緒に住んでいてもよくわからないんだよな、俺はあんまり甘いお菓子とか食べないからな……

「ケーキが希望だったけど、普段どれを食べてたか……」

 どうだったかと考えて、困る。

 食べてるところは思い出せるけど、だめだ、思い出せるあいつは全部違うケーキを食べてる。

 じゃあもうどのケーキを買って行っても同じだな、いやあったかいのを頼まれていたはずだ。

 温かいケーキ……温かいケーキ???

 ケーキというのはどれも要冷蔵なイメージだが、温かいケーキ……

 そういえば、ケーキという名がついて温めて食べるものがあったような気がする。

 たぶんそれを要求しているんだろう、確かあれは甘いという評価をされていたのもどこかで見たことがある。


「トリアス、ケーキ買ってきたぞ。すぐ温めるからな」

「うん、ありがとー」

 買ってきたケーキをレンジで温めて、パッケージに書いてあるように砂糖醤油をかけて渡す。

「何これ」

「何って、ライスケーキというものだが。あったかいケーキと言われて困ったが、これがあったかいケーキだろう?」

「普通にホットケーキとかが食べたかったんだけど、クリームマシマシの奴」

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