第1189話:フェイブ・ベニガート~水鉄砲~

「この先は非武装制限区域です、武器の類は所持していないでしょうね」

 ゲートを通る時に係員に声を掛けられた。

「非武装、それはどのレベルでの話なんだい?」

 武装といっても、ピンキリだ。

 爪楊枝ですら武器にできるといえばいえる。

「火器刃物以上の物は禁止させていただいています」

「火器刃物ね、例えばこういったものは?」

 懐に入れていた物をカウンターの上に出す。

「水鉄砲ですか、ジョークグッズですが……火器と見紛うものの所持はお勧め出来ませんよ」

「禁止ではない?」

 重ねて確認する。

「ええまぁ、それを禁止にしていたら限りがありませんから」

 まだ多少曖昧だが、これはこの水鉄砲を持ち込んでも構わないという、そういう判定だと解釈できるだろう。

「なるほど、これでも」

 カウンターに乗せたそれを手に取りながら反対の手で別の手から取り出したクレーを投げてそれを撃つ。

 水鉄砲から放たれた水はクレーを完璧に砕き、受付の人を唖然とさせる。

「見た目や機能は実のところ水鉄砲だが、その性能が標準的な水鉄砲並みとは限らない。さて、ここのゲートには武装預かりロッカーはあるかな?」

 ひきつった顔を浮かべる受付の人に、先に見せた水鉄砲を含む武装という判定を免れられそうな武器を通算23個カウンターに預けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る