第1188話:ハーリュ・フェープ~フライング~
「貴様、なぜそれを持っている」
街を(自主的に)警備している時、まだ誰も持っているはずのない品を持っている者を見かけたので声をかけた。
「おっと、いいでしょう、話します、話しましょう。だからその剣を下ろしていただきたい」
「そうだな、腰を据えて話そうか。あそこの木箱にでも腰掛けろ、そこまで歩け」
「はいはい、抵抗の意思はないからね、剣はいつ降ろしてくれるのかな?」
「座ってからだ、さっさと歩け」
軽口は叩くが、しっかりと従って木箱に座る。
私は剣を下ろして正面に立つ。
「して、それをどこで手に入れた? それの発売日はまだ少し先、貴様小売業者か? 全く今どきのはモラルが無いな、商品の抜き取りでもしたのか」
「いやいや、聞いてくださいよ。僕は全くの潔白です。何も悪いことはしていない、これがフライング的入手だなんてことはまったく……」
「そんなわけがないだろう! 発売日前のそれを……それを……私がどれだけ楽しみにしているか知っているのか!? それを、不正な方法で発売日より先に入手しおってからに、まったく……」
「いやぁ、そんなに楽しみにしてくれてるんですか、うれしいなぁ」
「何がうれしいものか!」
不正者のくせに何を言っているのか。
「僕はこれの開発者です」
開発者だからと言って許される話では……
「開発者?」
「ええ、僕がこのウルオジストロアンドリオの開発者です、今は散歩とテストを並行に行っていたのですが、誤解させてしまったようですね」
「えーと、あの、その、申し訳ありませんでした!!!」
状況を理解して、即完璧な謝罪の構えを決めた。
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