第1187話:フィルア・カルディーチ~喉の渇き~

 砂嵐がすごい。

 砂漠越えを体験してみたいという話に付き合って一緒に用意していざ初心者向けの砂漠と聞いていた砂漠にやってきたわけなんだが、砂嵐に巻き込まれて二人そろって死にかけてる。

 二度目だからいつ死んでも悔いはないが、まぁできれば弔ってもらえる場所で死にたかったな……


「お、目が覚めたか」

 起きて最初に感じたのは喉の渇きと、背中を預ける地面の硬さ。

「ここは……」

「俺の住み家だよ、砂漠の真ん中で湿気人さんが転がってるたぁ驚いたが、生きてるようでなによりだ。荷物はそっち、水はできるだけこぼさないように飲んでくれよ」

 そう言って私のカバンを指し示したのはざらざらしてそうな肌の小人、頭や手足が大きく胴は細い。

「ありがとう、あなたが助けてくれたんですか?」

 カバンからボトルを取り出して水を飲んでから尋ねる。

「まぁな、散歩の途中に倒れてたから拾って来たんだ、感謝するなら俺じゃなくてめぐりあわせにだな」

「めぐりあわせにも感謝しますが、あなたにも感謝はします。助けてくれてありがとうございました」

「そうかい? 照れちまうな」

 そう言ってキラキラしたどこに視線を向けているのかわからない目を顔ごと背けた。

「あ、そういえば、私以外にもう一人いませんでしたか?」

 あの子はこの部屋の中には見当たたらない、もしかしたら助けられたときにあの子だけ見落とされてまだ砂漠で倒れてるんじゃないか。

「ああ、もう一人いたな……、あっちは、なんというか……」

 もしかして、すでに死んでいたのだろうか。

「あんたよりも1時間ぐらい先に起きて元気いっぱいに外に飛び出していったよ」

 そう言われて、脇の床が水で濡れていることに気づいた。

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