第1181話:ルーニード・モンスⅩ~氷の島~
海に浮かぶ氷の島という物がある。
単純に気温が低さで凍った海水の塊が浮いているようなもので、氷山と呼ばれるものなのだが、中には氷の島と呼ばれるほど大きくかつ、存在自体が特異なものがある。
島には人が住んでいて、国もあったり、滅びたりをしていて、氷の国ならではの遺跡というものも多くある。
「して、今回の依頼はあの島のどこかにある彼女の遺品を探して欲しいって話だったな……」
依頼人の恋人は氷の島に憧れていて最寄りの島に移住したのだが、ほどなくしてその島で発生した何らかの事故によって住んでいた人は全員海に沈んだということらしい。
しかし、探偵であって冒険者ではないんだけどなぁ……
氷の島自体は俺も興味があるから依頼を受けたんだが。
「受けたもんは仕方ない」
村があった場所の地図はもらってるし、かつて使われていた道が残っているだろう。
しかし、島の人が全員海に沈んだ事故って何なんだろうな。
「寒いし、足場は悪いし、喉は痛むし、こんなところに住むなんて正気でないんじゃないか、イエティとかなのか……?」
寒さに強い奴ぐらいしか住めないだろうな……、暑さに弱い種族の人とかいるしな。
「ようやく村に着いたな」
氷の台地に氷の煉瓦で組まれた氷の家が並んだ氷の村だ。
「この辺の家が依頼の家だな」
遺品、遺品、ペンダントでもあればいいんだが、いや、この気温だ、貴金属の類の装飾品は無いか。
お、棚にマフラーが入ってる、持ち帰りやすい染みに付けもしやすい、これがちょうどよさそうだな。
しかし、村に異常は見られない。
島の人間が全員消えた理由が全くわからないな……、島が真っ二つにでもなって全てが海にのみ込まれたわけでもないのか。
依頼人にも事故としか聞いていないしな……。
背筋に寒気を感じて体が震える、早々に退散した方がよさそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます