第1180話:テララ・カイムド~かつて決別した君と~

「やぁ、久しぶりだね」

 見覚えがない、でも向こうはこちらのことを知っているらしく、名前も呼ばれてしまったので完全に僕のことを僕として認識して話しかけてきている。

 だめだ、思い出せない。

「僕のことが分からないって顔をしているね。ま、仕方ないよ。君は僕たちのことを忘れてしまったから、僕たちはここにいるんだから」

「僕が君を忘れた……?」

「僕たちね、僕たち。まぁ顔を見るのも初めてだろうから、ピンとこなくても仕方ないさ」

 ??? 意味深なことを言う。

「君はいったい誰なんだ……、思い出せない」

「まぁいいや、僕たちが誰か知りたければ付いてきて」

 こう言われたらついていくしかない。


「ようこそ、僕らの家へ」

 招待された家には最初に声をかけてきた奴以外に2人いた。

 泣いている奴、何が腹立たしいのかこちらをにらみつけている奴の二人だ。

 しかしこの家のインテリア、見たことあるものが多い。

「つ……」

 頭痛がする。

「僕達は君がかつて切り捨てた者たち、切り捨てられたあとこっちで目を覚ましたから君がどうなったかは知らないけど、今の姿を見るにあまり良い結果は得られなかったみたいだ」

「僕を恨んでいるのか……?」

「いいや、彼は怒っているかもしれないし、彼は切り捨てられたことで悲しんでいるかもしれないけど、僕は僕として確立することができたことを喜ばしく思っているよ」

「君たちは……いったい……?」

「僕たちは君の感情さ、かつて君が悩み切り捨てた怒り、悲しみ、喜びが人格を得た姿だ。もう一つに戻ることはできないけれど、楽しくやっていこうじゃないか」

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