第1127話:ガウドウ・チテニン~技能販売~
技能瓶の営業に来ているのだけども
「じゃあ、この技能瓶をもらおうかな」
「え、それですか?」
お客さんが選んだ瓶が予想外すぎて思わず口に出てしまった。
「何か問題でも?」
「いえ、問題はありませんが……」
まぁ、お客さんが何の目的で技能を買ってもそれに私が関与するものではない。
たとえそれが、睡眠の技能でもだ。
「では、また不要な技能があれば買い取りますので」
しかし、レパートリーがたくさんあることを見せるためだけの余剰瓶が売れてしまった。もしかしたら不眠症だったのかな?
また何か適当な瓶を補充しておかないとなぁ……なんてことを考えながら事務所に戻る。
「ガウドウ君、ちょっといいかね」
後日、上司に呼び出された。
「どうかしたんですか?」
最近はノルマもよくクリアしてるし、保持している瓶も多種多様。
上質な技能の買い取りもうまくやってるから昇格かな?
「君が先日販売した、睡眠の技能瓶のことなんだが……」
「ああ、そういえば売りましたね、そんなものも」
すぐに代わりの見せ技能が手に入ったから忘れていた。
「あれはなかなか幸運でしたね、仕入れ値が安い技能が結構な高値で売れましたし」
「その技能瓶が悪用されたという話が入ってきたのだよ……」
「へ?」
なんて?
「なんでも、睡眠の技能瓶を他人に吸わせたらしい……」
詳しく話を聞くと、仕事上のライバルに吸わせて元から誰もが持ってる睡眠技能と重複させることで昏睡させたらしい。
上司からの話は「こういうこともあるから気を付けるように」程度で済んだが、面白い技能瓶の使い方もあるもんだなぁ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます