第1117話:オウモ・イルメ~自身の証明~
「君は、オウモ・イルメか……?」
「久しいな、君も死んだか」
昔馴染みだ、僕が死んで以来20年ほど会ってなかった。
彼は随分と長生きしたようだね。
「いや、お前は違う。お前は、オウモ・イルメではない!」
向こうから話しかけてきたとおもったら、どういうわけか僕を否定して去っていった。
はて、何かおかしかっただろうか。
この若い姿の頃から彼と付き合いはあったし、だからこそ一見して僕だとわかったのだろうし、彼の知っている僕との差異が大きかった?
しかし、20年も違う環境で暮らせば人は変わる。
彼にどう僕が僕であることを証明しようか。
やはり順当に思出話か、共通の思い出を語れば僕が僕であることに納得してもらえるだろう。
いや、まてよ?
僕が僕であることを彼に証明しようとする前に、僕が本当に彼の知っている僕なのかを僕自身が確かめなくてはいけないのではないか。
今まであまり気にしてなかったけど、転生したこによって、生まれ直した僕は本当に僕だろうか。
僕の記憶をもった僕のような他人かもしれない、いや、僕の記憶を与えられた別の人間か。
記憶に連続性があれば僕なのか、なくても記憶があれば僕なのか、そもそも彼は何をもってして僕でないと言ったのか、そこにヒントがあるかもしれない。
「というわけだ、少し話をしよう」
「……なんだ、やっぱりオウモ・イルメじゃないか」
「は?」
なんだ、なにをもって判断してるんだこいつは。
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