第1116話:ナケ・ネーミン~ノイズ~
ゥゥン……
耳障りなノイズが聞こえる。
意識した途端に気になってしまう。
なんの音だろうかと辺りを見渡してもいろいろありすぎてどれが音をたてているのかわからない。
壁から突き出た色とりどりの箱のどれかだとは思うんだけど、わかったところで止められるものでもないか。
しかし、この場をすぐに離れられるのならよかったけど行列に並んでいて離れられない。
一度離れるとまた並び直しだし、後ろを見た感じ、数量限定の品は並び直したら買えなくなることはまちがいない。
ゥゥンとかいうノイズに負けずに、並び続けるんだ。
しばらく並んでいる間もノイズは鳴り続け、耐えきれなくなった人が数人列を離れて行った。
ふふん、この程度で諦めるとはなさけない。
真に欲するものならば、この程度の不快音ぐらい耐えられるだろう。
と、余裕な顔をしているけど僕もなかなか辛くなってきた。
少し頭痛もする。
列の後ろを見る、大分減っているような気もする。
これなら一度列を抜けて休憩しても戻ってこれるんじゃないか。
いやいや、そんなことを考えて抜けても戻ってくる頃には同じことを考えて先に抜けたやつらが戻ってきてるに違いない。
ようやく自分の番が来た。
ノイズはもう鳴ってるのか鳴ってないのかわからなくなっている。
慣れたわけではなく、頭のなかで響き続けていて、これが外からの音なのか、頭の中だけの音なのかがわからなくなっている。
「お疲れさまでした、よく数多の障害に耐えて並びましたね」
「数多の障害?」
「ええ、いつも人数が多いものでして、いろいろな妨害をしているんですよ。具体的なことは対策されてしまうので言えませんがね」
なんともまぁ……。
ゥゥンというノイズはもう聞こえなくなっていたが、頭痛はした。
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