第1100話:ケーカ・フルーラ~効かぬ拷問~

「やぁ、目が覚めたかい?」

「……? ここは……?」

 目を覚ますと薄暗い室内、後ろ手に縛られて硬い椅子に座らされていた。

「どこだろうなぁ。君、最近僕らのこと調べてたでしょ」

「スフェリオ会の者ですか」

「ご明察。いかにも怪しかったからさ、拘束させてもらったよ。これから君がなぜ僕らのことを調べていたのかとか、そもそもどうやって知ったのかとか、そういったことを聞かせてもらう。君から質問があれば答えられる限りは答えよう」

「この椅子、やけに硬くてお尻痛いんですけど普段使いしてるんですか?」

「結構余裕だね君、こういう時用の椅子だから、普段は使ってないよ」

 ああ、道理で硬いわけですね、納得。

「他に聞きたいことは?」

「私、何も知らないんで拷問のようなことをしても時間の無駄にしかならないと思うんですけど、そこのところどうなんでしょう」

「知らないかどうかは、これから確かめよう」

 出して来たのはペンチやノコギリ、痛みを与えるのに特化した形をしたそれらを傍らに置いて、座っている私に目線を合わせるように屈む。

「さて、誰に頼まれて僕らのことを追っていたのかな?」

「誰にも頼まれたわけじゃないですよ、私は何の意味もなくあなたたちを追っていました」

「意味もなく人を追うわけがないだろう、それも同じ集団に所属する者たちをさぁ」

「本当に無計画に追っていただけなんですけど」

「そういうのはいいから、これ使ってみようか、というか君感情薄いってよく言われない?」

 拷問されようとしてるのに慌てる様子が無いからか、少しずつ慌て始めた様子。

 本当に話せることが無いんだけどなぁ。

「できれば痛いのはやめてほしいんですけど、本当に言えることないですよ?」

「いつまでそう言ってられるかな」



「顔色一つ変わらない……」

 しばらくペンチで爪を剥いでみたり、ノコギリで指を落としてみたり、サクサク針を刺したりしていたが、まったく反応が無い私を見てあきらめそうになっている。

「そろそろ諦めてみます?」

「そうだね、これだけやって何も情報を引き出せなかったのはびっくりだけど、これ以上付きまとわれるのも面倒だし君はもう固めて埋めることにするよ」

「ああ、それはわかりやすくていいですね」

「君、死ぬってこと分かってる?」

「もう一度死んだ身ですから」

「それはそうだけど」

 椅子ごとドラム缶の中に入れられて、上からコンクリートを流し込まれていく。

「最後に何か言うことはあるかい?」

「そうですねぇ、次は柔らかい椅子に座らせてほしいものです」

 頭まで埋まって動けなくなった。



「目が覚めたか?」

「……? ここは……?」

 目を覚ますと薄暗い室内、後ろ手に縛られて柔らかいクッションを敷いた椅子に座らされていた。

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