第1053話:マギラ・ミョウジン~地下世界~

「避暑地で地下なぁ。地下って暑そうなイメージあるんだけど。こう、溶岩とか」

「今から行くところは地下に築かれた超巨大シェルター型施設なので、そんな暑かったりはしませんよ。常に空調が効いていて、暑くも寒くもないちょうどいい環境を維持しているそうですよ」

「ふぅん、暑くないんならいいや、ところでなんでワープゲートじゃなくてエレベーターで降りるんだよ」

「どうにも、地下であるということを印象付けるためだとかなんとか、どれぐらい深い場所にあるのかということをさ」

「よくわかんねぇ。お、来たみたいだぜ」

 話してたらちょうどいいところでエレベーターが来た。

 8人乗りで、結構な広さがある。横のパネルに体格で何人分なのかの記載があり、私達は0.5人分であるということが記されていた。

「さぁ、行こうか」

「ん」

 2人で1人分の席に座るのかとも思ったが、他にエレベーターに乗る人はいないようで大きな椅子にそれぞれ1人ずつ座った。

「シートベルト……はないか、揺れるものでもないからかな」

「エレベーターにシートベルトは無いだろ、普通椅子も無いと思うが」

「こういう長距離移動系のやつには結構ついているものだよ、このエレベーターは下までどれぐらいだったかな、2時間ぐらいか」

「2時間!? 長くねぇか?」

「結構深部に作られてるんだろうね。おや、もうそろそろ出発みたいだ」

 ブザーが鳴ってドアが閉まる。

 最初にガコンと言ったきり無音になって、降りていることを示すのは壁に貼られた深度表示のみになる。

「なるほど、ここまで揺れないのならシートベルトがないのも納得だね」

「いやこれ止まってるだろ」

「動いてるさ、さて2時間何して暇をつぶそうか」

「これじゃあ降りている感も何もないと思うんだよな」

 それは確かにごもっともである。

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