第1051話:ルルニア=ローテル~死を望む人~
「何か質問は?」
いつも通り、最低限の個人情報の聴取と、この世界についての説明を終え、質問があればそれに答えるか窓口に案内する。
「死なせてもらえませんか」
生まれなおしたばかりだというのに、たまにこういうのはいる。
「安楽死課の窓口はそこの扉出て右23番目の窓口です、次が無いといいですね、では」
とまぁ、死んで生まれなおしたくなんてなかったという人には安楽死課という場所を案内する。
懐かしい、私も昔お世話になったことがある。
こっちに来たばかりの私は自殺した直後ということもあって、生まれなおしたことすら後悔していたから、すぐに安楽死課に案内された。
安楽死課では、少々性格の悪い、前世ではさぞ高名な詐欺師だったであろう先生方がいて、希望する死に方に対するカウンセリングをする。
その過程で死ぬことを選択する意味がないことを悟らせるということが目的らしい。
私もかつて巧妙な話術によって世界各地を巡って暮らし、最終的にはここで必要とされることになって今もこうして生きている。
たまには顔を出してこよう、ただし騙されないようにだけ気を付けないといけない。
彼らは気を抜いていれば身内でも騙してくるような人たちだ。
「お久しぶりです」
「おや、ルルニアくんじゃないか。元気かい?」
「はい、おかげさまで。ところで先ほど案内した人は元気にしてます?」
「彼かい? 彼なら毒ガス室へ案内したが。どうかしたのかい、そんな顔をして」
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