第1039話:ケラ・パラロ~自己紹介~
「俺はウスハ・カゲチ君は?」
「あ、ケラ。ケラ・パラロです」
危ないところを間一髪で助けられ、手を差し伸べられながら名を名乗られたものだから、慌てて返事する。
「アケラ・ケラ・パウロか、いい名前だな」
「違いますよ。ケラ・パウロです」
変な誤解をされて、少しむっとして言う。
「ああ、ケラ・パウロか。すまんね、異国の名前にはなじみが無いもので」
名前を間違えられたことは仕方ないし、いい。
「いや、いいですけど。助けてくれてありがとうございます」
そういえばお礼を言ってなかったと思い、
「通りかかったからね、お礼はいいよ」
でも、お礼をしないというのは気分が悪い。
「あの、ちょっとお話します?」
ちょっと話して情報を引き出しながら何をお礼にしようか考えることにしよう。
「改めて、ケラ・パラロです」
「ウスハ・カゲチです」
苦笑しながらも改めての自己紹介に付き合ってくれる。
「カゲチさんは、何か好きなものとかあります?」
「そうだな、結構甘いお菓子とか好きかな、フサロワンとか。君も好きかい?」
「いえ、知らないです。あ、甘いものは好きですよ」
フサロワン、今度調べてみよう。
「趣味は」「職業は」「生まれは」
「古書店巡り、今は無職、ライタラニア、なんか自己紹介っていうか、自己開示? いや尋問みたいな感じになってるきがするね?」
「あ、私の方も言った方がよかったですかね? 食べ歩き、事務職、トールマトンです」
「いやそういう話じゃなくて」
自己紹介ってこういう物じゃなかっただろうか。
それともライタラニアの方では違うのだろうか。
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