第1026話:ホウエ・ピア~備えを怠る~
「さて、明日からは夏眠だよ。蓄えはばっちりだよね?」
「もちろん」「いっぱい食べたからね」「起きた後のご飯も残してあるか?」「少しだけど、あるよ!」
夏季の時期、高温になる地上では暮らせないので、僕らは地下に潜って寝て過ごす。
寝ている間に餓死することが無いよう、寝る前には大量に食べて体に蓄えを増やしておくのだけども……
「忘れてた……」
寝る前の高揚感でワイワイしているみんなを陰からのぞきながら、自身がこの日まで何の蓄えも体に着けることなくこの日まで来てしまったことに気づいた。
本当は雨季に入る前ぐらいから食べる量を増やして身を肥やす必要があるのに、今年は雨が少なくてどのへんから雨季なのかピンとこず、気付けばもう、明日から夏眠だという日まで来てしまった。
「どうするかなぁ……このまま寝たら餓死確定だしなぁ……」
夏眠まであと一日ある、この間に食べられるだけ食べよう。
起きた後のことは起きた後に速攻で集めればいいだけだ、何にも問題は無い、はずだ。
「うぇ」
無理だわ、本来少しずつ食べる量を増やして胃を膨らませながら蓄えていくのに、一日で夏眠に耐えられるぐらいに食べるのは無理。
少し考えればわかることだった。
どうするか、どうするか。幸い、食料自体の備蓄は結構ある。
どうする……どうする……?
そうだ、逆転の発想だ。
夏眠しなくても、行ける気がする……!
よく考えたら夏眠は前の世界の常識だ、この世界に来てから夏季をまともに体験したことない。
ならば、もしかしたら、この世界の夏季は前の世界の夏季と違って涼しく過ごせるのかもしれない、どうせこのまま寝ても死ぬのであれば、俺は可能性がある方を選ぶ!
暑さがすごい、この世界の夏季ヤバいわ、普通に前の世界の数倍暑いと思う、気温の読み方がわからないから実際のところはわからないけど、相当暑いと思う。
本当に、文明の利器が無ければ死んでいたな、クーラーってもんは本当に素晴らしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます