第1025話:タラクモ・フェスト~重なる世界~
「三次元空間でしか物を見ていない君たちには知らないことが多々ある」
「……なんの話です」
突然喫茶店で勝手に対面に座った奴がなんか変なことを言いだした。
危ない勧誘とかだろうか、受け答えするんじゃなかった。
「この世界っていうのはですね、見える世界だけじゃないってことですよ。多数のレイヤーが重なって構成されているのです」
ナプキンを重ねながら話し始めた、それがレイヤーを表しているのだろうか。
「このレイヤー1の人にはレイヤー2の人は見えません」
まぁ、違う世界に住んでいるようなものですからね。
理解を示してより深く絡まれてもめんどくさいから、無言で聞く。
「しかし、世界に存在する一部の上位存在はレイヤーを超えて活動することができるんです」
テーブルに用意されてた楊枝を一本取り出して重ねたナプキンに刺す、もったいない。
「私達はその上位存在を信仰してるんです」
「なんて?」
聞捨てならないことを言われた気がした、
「その上位存在のことをですね、信仰してるんですよ」
「信仰とは」
興味があるぞ、これに関してはとても興味がある。
「毎日特定の時間に祈りを捧げたり、捧げものを祭壇に掲げたりしてるんです」
「届いてないんですけど!?」
「え!?」
「いや、え!?じゃなくて届いてないんですけど!?」
私、そういうレイヤー超えて存在してる上位存在なんですけど、今までそういう活動してる人がいるってことも知らなかったぐらいには何も届いてないんですけど。
「もしかして、上位存在に届かない独りよがりな感じなんじゃないですか!?」
「いや、上位存在ならその辺の気持ちも見えるのかなと」
「見えるわけないでしょ! あくまでレイヤーを超えるだけで、レイヤー超えても三次元空間には影響されるんだからさぁ!」
「あ、え、あすみません!!!」
そういって慌てて逃げて行った。
しまった、怖がらせてしまったか……。
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