第1018話:イツバーニ・メニタモウ~虚無を作る~

「週刊虚無を作る」

 本屋に並ぶ、定期購読すると何かできる系解説書の棚に興味深い物が置いてあった。

 虚無を作る……?

 虚無っていうと、何だ。

 確か、何にもないことだ、何もないってーことは?

 週刊虚無を作るには何が付属しているのだろうか。

「値段は……」

 何もついてないのであれば、値段はそれなりなんじゃないか、最初の一巻だけ安くなってたりはするが、週刊虚無は今のところ3巻まで出ている。

「400パソ、そこそこの値段だな……」

 他に並んでいるのもだいたい400とか500とか、そんなもんの値段はするので、何かは付属しているんだろう。

 一体何が付属しているのか、気にはなるんだけど、買って開けないと何が入ってるかはわからない。

 こうやって興味を引いて買わせる戦略なのかな……

 でも開けて「今その気持ちが虚無です」とか書いてあったらどうしようか、いやそれはそれで話のネタとしておいしいような気もする。

 よし、決めた。

 1巻だけ買う。

 1巻だけとりあえず買って、内容を見てから定期購読して虚無を作るかどうかは決める。


 とりあえず帰ってきて開封、長ったらしい前書きも何が書いてあるのか確認するけど、正直何が書いてあるのか全然わからない。

「虚無とは……」から始まって、なぜか「有るから無いのである」で締められた、前書きだよな?

 虚無の作り方解説とかそういうのではないはずだ。

 えーと、付属は……

「満たされた空間」と銘打たれた箱。

 解説文には「虚無を作るにはまず、あなたにとって何が虚無なのかを知る必要があります。この「満たされた空間」は在ります」と書かれていた。

「満たされた空間」が在るとは……? 何もわからない、2巻3巻と読み進めればわかるだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る