第995話:オミヤ・メバル~食べる音がうるさい~
──グチャグチャ
隣の人の食べる音がうるさい。
どういう物の噛み方をしているのか、ひどく不快な音をたてながら食べている。
「なぁ君、食べる音がうるさいんだけど?」
さすがに耐えきれずに注意をする。
──グチャグチャ
だめだ無視された。
「なぁ、君に言っているんだよ、うるさいぞ!」
少し、語気を強めて言ってようやくこちらに目線を向けた、
──グチャグチャ
が、無視!
一瞬だけ目線をこちらに向けただけで、音をたてて食事継続。
こいつ……
「うるさいと言っているだろう!」
激昂して、肩を叩く。
そうして、彼はようやく食べるのをやめた。
「なんで、最初からやめなかったんだ」
「別にやめる理由がなかったから」
聞いたことには思いの外素直に答えた。
「僕がうるさいと言ったが?」
「そんなこと、やめる理由にはならない。あなたの不機嫌は僕には関係ないでしょう?」
「なっ、」
なんてやつだ、他人の不愉快を意に介さないとは。
とんでもない悪人だな。
「今、やめたのはあなたが思いの外短気で、暴力的な手段に出そうだったからです。さすがに僕も痛いのは嫌ですから、ではこの辺で」
そう言って彼はその場から立ち去った。
なんて利己的な奴だったんだ、そう思いながら苛立ちを静めるために僕はタバコに火をつけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます