第996話:フピ・ファンシス~ビルド~

「どこに建てる?」

 僻地の村に引っ越してどこに住もうかという話、まずは場所から決めよと言われた。

「え、今日から住めるって話じゃなかったでしたっけ?」

 荷物ももう持ってきたのに、建物も無いとは聞いてない。

「まぁ、そうだけども、好きな場所に住みたいだろ?」

「それはそうですけど……」

 どこが道でどう区画があるのかもわからない荒れ地、選べと言われてもどこも同じにしか見えないし、どこが誰の土地なのかとかすらわからない。

「じゃあ、そこで」

 なんにもわからんので、適当な空き地を指定する。

「あいよ了解、じゃあ次は外観を選んでだな、これがカタログなんだが」

 これも今から決めるのか、本当に今日中に住めるんだろうな?


「なるほどなるほど、イメージはだいぶわかった。いいねぇいいねぇ、いい家ができそうだ」

 エクステリアインテリアオプションあれこれを選び終わって既に昼過ぎ、モグモグと昼食を食べながら設計図を纏めている。

「よしよし、こんなもんかね」

 どうやら纏まったようだ。

「さーてやってしまいますか」

 立ち上がり、伸びをしながら作業開始の宣言をする。

 と言っても作業員はいないし、どうする気なのか。

 本当に今日中に荷物の運び入れができるのか。


 立ったと思ったら携帯端末デバイスを取り出して、ケーブルを伸ばし、何かの玉に接続して少し待った後、ケーブルを引き抜いて先ほど指定した辺りに埋めた。

「何を?」

「まぁ見てなって建築ビルド開始」

 そう言って少し待つと、芽が生えてきて育って木?になって膨らんでいつの間にか家だった。

「これは……」

「さて、外見は上々。問題は中身だけども、気に入らなかったら調整して建て直すから好きに言ってくれ、家具の種類とか配置とかぐらいならすぐに修正できるからさ」

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