第994話:クラミグ・サイアン~携帯端末~

携帯端末デバイスってさぁ、なんなの?」

「携帯端末は携帯端末だろう?」

「いや、そうじゃなくて、なんというかだな、携帯電話とは違うのか?」

 どうにも、携帯端末デバイスの電話以外の用途がわからないんだよな。

「……なるほど、そこからか」

「ご教示願いたい」

 少し呆れるように言われた、もしかしてもしかしなくてもみんな分かって使っているのか……?

携帯端末デバイスはだな、何でもできるようにしてくれる機械だ」

「なんでも……!?」

「基本的にはなんでもだな、俺も昔いろいろやってみたけど本当に何でもできた、ある程度他人が作ったものを使うには金がかかるが」

「例えば?」

「空を飛んだり、火を噴いたり、まぁ時間移動とか死者の蘇生はできないかもしれない。その辺は世界の制限があるとかなんとか」

「なんだか中途半端だな」

 なんでもできるのかできないこともあるのか、はっきりしてほしい。

「ちょっと誇張した、正確に言えば誰かができることは携帯端末デバイスを使えばできるってことさ。多少コストはかかるけどね」

「それは誇張無しに?」

「これはマジ、実際にどうとでもなる」

 それでもだいぶ大きく言いすぎな気がする。

「例えば?」

「買えなかったけど時間停止はできるらしい」

「本当に?」

「マジ、ただ電話とかグローバルネットにつないで情報を見るだけの端末とは違うんだよ」

「これがなぁ……」

 手に持った前の世界の携帯電話に酷似した見た目を眺めながらつぶやく。

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