第993話:クラバ・タニ~行列のできる~

「並んでるなぁ……」

 最近話題によく上がるお店に行ってみようと思って来てみたものの、果ての見えない行列が店の前に並んでいて、いったいいつになったら入れるのか見当もつかないほどだ。

 最後尾はどこだろうと、順に追っていく。

 歩けど歩けど、人の列が続いていて、角を一つ曲がり、二つ曲がり、三つ曲がったところでこれはもしやループしているのでは?となったが、四つ曲がる前に「最後尾はこの下」という看板と共に地下へ続く階段が現れ、行列はその中から来ていた。

 降りるようの階段も手すりで仕切られて用意されていたので、そこを降りてさらに行列の元を追う。

 何度も折り返しながらだいぶ地下深くまで降りてきてようやく階段が終わった。

 しかし、まだまだ行列は続いている。

 直線になった通路をさらに辿って奥へ、さすがにそろそろ終わりかな?と思ったけど、曲がり角。

 さらにその先も霞むほど奥まで続く行列がある。

 小型駆動椅子に座って更に奥を目指して進む、並んでいる人の顔を見るだけで暇がつぶせるのはとても良い。

 別にこの行列が何のために並んでいるのかには興味が無いけど、こうやって並んでいる人の顔を眺めながらどういう気持ちで並んでいるのかを考えるのが楽しい。

 ただ、この通路は一方通行っぽいから最奥まで着いたらどうやって出ようか……

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