第931話:アシュソウ・コルリ~安全装置~

「さて、これが依頼の物だよ」

「これが? どう使うもんなんだい?」

 依頼したものは、エネルギー砲。

 目の前に出されたものは黒い立方体だ。

「まぁまぁ、安全装置がかかってるのさ。トリガー一つでバシューンじゃ危ないだろう?」

「それはそうだが……」

 これがエネルギー砲だとして、どうやって使えばいいんだろう。

「安全装置の解除の方法はだな、まずはパスワードを唱える、呪文と言ってもいいが*****、こう周りの空間では発生そのものにフィルターがかかるので、どんなパブリックな空間でも気にすることなく認証を掛けられる」

 聞き取れなかったパスワードに反応して、立方体の色が黒から白に変わった。

「それはなんとなく便利な気がする、安全って感じ」

「だろう?」

「で、ここからどうやって使うの?」

「パスワードでロックの第一段階を解除したら、こう右に4回、左に2回、前に2回向きを変えて、黄色くなったら2回振って、赤い点が出た面を順に触れて……」

「待った待った」

「どうした?」

「安全装置解除の手順煩雑すぎでは?」

「安全のためにはこれぐらい必要なのよ、なんたって物が物だから」

 まぁ、そうか。

 でもいちいちこんなことしてらんないから最終ステップ手前で保持しておこう。

「一応、安全装置解除のステップを進めないまま放置すると1時間で最初の段階まで戻ります」

 余計なことしやがって。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る