第926話:イグサ・チルキア~覚えがない思い出~

 ん、こんなアルバム作ったかな?

 部屋の片づけをしていた時に棚の裏から出てきたアルバム、全然記憶にないし、そもそも私はアルバム何て作ったことがあっただろうか。

 思い出せない、まったく過去を記録しない生き方をしていることもあって、全く思い出せない。

 逆に考えればそういう生き方をしているということは、アルバムなんて作るわけがなくて、ではここにあるこのアルバムは一体何なのかという話になる。

 もしかしたらこれを作った時の私は時の気まぐれで作ってすぐに飽きて放置したのだろうか、それならわかる。

 それなら私らしいものな、さて一体何ページ目まであるのだろうか。


 ……?

 おかしい、さすがにこのページ数のアルバムを作ったことを忘れているのはおかしい。

 普通にタイムスタンプを見る限り、ここ最近2年分ぐらいの量の写真があった。

 ここ最近、2年分のアルバムを作ったことはさすがの私でも記憶の淵に引っかかっているだろう。

 そして何よりこのアルバム、間違いなく映っているのは私なのに、私が行ったことが無い場所の写真しかない。

 ていうか、どの写真も知らない景色過ぎる。

 なんか怖くなってきたので、真剣に過去を思い出してみることにしたが、一向に行った記憶も写真を撮った記憶も戯れに画像合成で行ったことにした記憶も出てこない。

 いや、画像合成……。

 何か引っかかるものがある。

 アルバムのもっとも古い日付の辺りのサイト閲覧履歴を確認したところ、やはりあった。

『忙しくて旅行へ行けないあなたへ!旅行のアルバムを自動作成サービス!』

 2年前の私は一体なんてサービスに登録していたんだ。

 このアルバムはそのサービスで送られてきた、一定期間ごとに写真が増えるアルバムであった。

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