死後の異世界

第904話：タンジャン・コーラ～作製キット～

　環境ジオラマ作製キットを買ってしまった。

　昔からこういうのには興味があって、機会があればと思いつつも機会はなく、ちょっと自分の中の要素がうまくかみ合ったという感じ。

　店頭で見かけて衝動的にかごに入れてそのまま会計をして、今は自室の机の上に箱から出す前の状態で置いてある。

　少々理性に欠けた行動だったかなと、反省しているが、買ったものは使わねばもったいない。

　第一梱包のパッケージを剥いて、箱から各種素材を取り出す。

　内容物は4つ程に小分けされて袋に入っており、土や種や栄養粉末と、これジオラマ制作キットだよな？という感じもあるが、まぁこういうものなんだろう。

　こういうのがあるという話は前から知っていたが、内容はどういうものかあんまり詳しくはなかったんだ。

　説明書には、「土の一部と栄養粉末を混ぜ合わせる」と書いてあり、注意事項には「全部混ぜ合わせてしまうと全体が植物に覆われてしまうので、必要なだけ混ぜること」とも書かれていて、なるほどなと思いながらもどれだけの割合で用意しておくべきなのか、具体的な構想がまだできていないこともありとりあえず半分ということにしておく。

「同梱されている箱に混ぜた土を作りたい風景に合わせて敷き詰めてから種を撒く」と書かれているが、種は雑にバッと撒いても大丈夫なものなのだろうか。

　わからん……と思ったけどさっきの栄養粉末の説明を思いだしてなんとなく意味を察する。

　こういう制作キット系は、説明がちょっと怪しいのが面白い。

　だいたいこんな感じかなと、イメージで土を配置していく。

　どっちも同じ土色で判別がつかない、難しいなこれはと思いつつもなんとかこんなもんだろと配置を終えた。

　そのまま、種の袋の中身を均等になるように撒いて、次のステップを見る。

「あとは毎日水をあげれば早くて5日で完成！　忘れないように水をあげましょう」と書いてある。

　なるほど、そういう感じか。

　今日やれることはもうなくて、次は明日と。

　翌日、水をあげるために箱庭を覗いたら芽が生えていたわけなんだけれど、全部緑になってしまって失敗してる感じがすごかったのでそのまま三日目の水はやらずに終わってしまった。