第869話:スト・トトル~起動スイッチ~
壁から一本のレバーが生えている。
斜め上に生えていて、下げたら何かがおきそうな、そんな見た目をしている。
何のスイッチだろう、こういう物はスイッチを動かすと大抵ろくなことにならないと相場が決まっている。
無視しようかと思ったけども、こういう物は見てしまうと気になって仕方がない、あとからなぜ無視してしまったのかと後悔することになるだろう。
悩みどころだ。
「後悔するぐらいなら……」
手がレバーに伸びそうになるのをぐっとこらえる。
見逃してももやもや、
この衝動を抑えるには、なぜこんなところにこんなものがあるのかを想像して、満足するしかない。
さて、考えてみよう。
この場所、ゴミ捨て場の横の壁、材質は鉄っぽい、上げ下げできそうなタイプのレバーで明らかに何かのスイッチだ。
この状況を考えれば、これはゴミ処理のレバーであることが推測されるが、それではつまらない。
反証をいくらか出して、否定してより深みがある考察をすることにする。
「ゴミ捨て場のレバーであるならそういう表示が無いのはおかしいのでは?」
そうだ、ゴミ捨て場のレバーであるのであれば、ゴミ捨て場のレバーであるという表示が無ければおかしい。
この程度のレバーをあとからゴミ捨て場に後付けして何らかの罠にする頃ぐらい、どうとでもできるだろうし、ゴミ捨て場のレバーだと思って引いたやつをゴミにするレバーを設置する快楽殺人樹がいてもおかしくないのだ。
よしこれだ、これにしよう。
納得した僕は持ってきたゴミをゴミ箱放り込んでレバーを下げた。
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