第852話:サイラク・ファク~レイヤー違い~
「あれ、今日はなんだか静かだな……」
いつも通りの時間に来た学校のの講義室、時計を見ても極端に早く来すぎたなんてことは無く、誰もいない座席を見て不思議に思い首をかしげる。
「今日って休講日だっけ……?」
一応広義開始の時間までは時間があるしと適当な椅子を掴んで座る。
そのまま普段なら友達としゃべりながら過ごす時間を適当につぶして気付けば開始の時間はとっくに過ぎていた。
「講義室の変更通知なんて来てないよな……?」
一応と通知を確認してみるが、そんな話は来ていない。
「うーん、連絡漏れかなぁ……?」
どうやって連絡漏れを証明して欠席の理由とするかを考えつつ、友人に連絡しようとするがつながらない。
講義中だからといって電源を切る必要なんてないし、だとしてもそんなことをする奴らじゃないはずだ。
仕方ないからこの講義は後からアーカイブを聞くか、次の講義までの時間をどうするか……
適当に時間を潰して次の講義へ向かった、廊下で何人かとすれ違って少しだけ安心する。
「お、やっと来たか、前の時間はさぼりか? 珍しい」
「いや、講義室変更の連絡が来てなかっただけだ」
「あ? 前の時間は別に講義室の変更とかなかったぞ?」
「? 間違ってなかったはずだけど、誰もいなかったぞ?」
「そうかぁ?」
笑いをこらえられないという顔だ、何か知ってやがるな。
「いやぁ、前の講義のタイトル覚えてるか?」
「並行世界論……?」
「じつはな、今回の講義は並行世界論では人工的に並行世界を作るみたいな話でな?」
「まさか……」
「そのまさかさ、お前が行っていたのは並行世界の講義室だよ」
なんてこった……
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