第849話:サージス・トロントキア~君の顔~
「新しい体なんだけど、どうかな?」
「うん、可愛いよ」
「そ、そうか? 選んだかいがあったな……」
「前の体も好きだけど、この体も僕は好きだな」
「えへへ……」
彼女は体をたまに取り換える。
そういう類の生態を持つ人であるから、ガラス玉のような本体を人形に入れ替えて新しい体とする。
その姿はさまざまで、よく使うのは少女型。たまに男性型だったり動物だったり、怪物も植物も無機物も何でもありだ。
そうやっていろんな姿を取る彼女は出会ったころはいちいち体を変えるたびに不安そうな顔で「分かってもらえるかな?」とあいさつに来ていたが、今では「今回も似合ってるって言ってもらえるかな?」という、そういう顔で来るようになった。
「分かってもらえるのは当たり前」だって思ってくれているようでよかった。
「そういえば、なんで私だってすぐわかるんだ?」
彼女は不思議そうに聞いてくる、僕が彼女の体が変わってもすぐにわかる理由……
「そうだなぁ、君はどの体になってもおんなじ顔で笑うんだ」
「おんなじ顔? この体と前の体は全然違う顔だとおもんだけど……」
手鏡を取り出してじっくりと顔を見る。
「体は変わっもね、いろんな動きとかが君のままなんだ、まぁ一瞬だけとかそういう感じなんだけどね」
「そういうものなのか……? なんか照れるな……えへへ」
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