第840話:コウレン・スアマ~ズレ~
ふと、会話の途中で不思議な感覚を味わった。
「今、ズレなかった?」
「何の話?」
「なんのって、何のことだっけ?」
「いや、今あんたがズレなかった?って言うから聞いたんだけど」
「わかんない、わかんないけどなんかこう、ズッって何かがズレたようなきがしたんだ」
話しながら周りを見渡しても何かがズレているような、そんな様子はまったくない、全てが整理整頓されていて、グリッド上に配置されたそれらは何もおかしなところを持たない。
「あれー?」
不思議に思いつつも、会話に戻ろうと視線を動かした時、また
ズッという何とも不快な感覚に襲われた。
「うわ」ズレた時の不快感に思わず声が出る。
「なに? またズレた?」
「うん、何がかは分かんないけど……」
何度見てもグリッドからズレた物はない。
いったい、何を見てズレたなんて感じたのだろうか。
「そういえば、ズレはもう大丈夫?」
二度目のズレの後、しばらく何事も無くて普通に会話を続けていたが、違和感がぬぐえずに結局その日は解散となって、家に帰っての後日。
「忘れてた」
その後はそんなズレている感覚なんて全くなくて、一晩寝たらそんなことが会ったことすらも忘れてしまっていて、本当にこれは何がズレたのかとかそういう問題ですらなくなっていた。
「体調が悪かっただけなのかな……?」
グリッドに合わないぐちゃぐちゃの部屋ですらズレたという感覚はないのに、何だったんだろう。
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