第839話:アイカク・ソケビ~抜けないケーブル~
「じゃあここの設備はもう使わないから、全部ケーブル引っこ抜いてあっちに纏めておいてくれ。機材もケーブルも再使用の予定があるからな、できるだけ破損は避けること」
「うっす、了解です」
今日の解体現場はかつては情報集積センターだったらしい施設。
ひたすらにサーバーラックが並んでいて、それぞれから幾本のケーブルが這い出している。
「これは……」
丁寧にやってたら今日中には終わらないやつじゃないかね。
まぁ、丁寧にやるか雑にやるかは、やってみてって感じかな。
しばらくの間プチプチと、一本ずつケーブルを抜いていたが、ダメだな、時間がかかる。
だいぶこつもつかめてきたし、まとめて一気に引き抜いて行くことにしよう。
試しに一塊引き抜くとパパパパと、軽快な音を立てて抜ける。
「よっし、これなら……」
このペースで進むのなら、問題なく終わらせられる、まとめて引っこ抜くので回収するのも楽でよい。
「おほっこれは楽しいな」
すぱぱぱーんと抜けるのが気持ちいい、しかも結構ケーブルが丈夫なようで、全然問題なさそうだ。
そんな感じでスパパンスパパン引っこ抜いていると、ガッと引っかかった。
「おうぉ……」
勢いあまってよろめいて、危うくぶつかるところだったが、何とか持ち直す。
こいつはちょっと特別なケーブルなのかと思ったが、見た感じ他のと同じで特に変なロックがかかっているようには見えない。
一本だけ掴んで、全力で力を入れたけど抜けない。
「いい度胸じゃないか……」
ながい戦いになりそうだ……
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