第824話:ウロ-ファーダー~手が足りない~

 忙し忙しと手を増やして既に4対、気が付けば人の姿を捨てていたがどうしてこうも忙しいのか。

「なんでだと思う?」

「手が増えても仕事を消化するスピードが変わってないからじゃないか?」

「え、本当に?」

「うん、むしろその増えた手を満足に動かせてないみたいで、作業速度上がるどころか、むしろ下がってるんじゃない?」

「どうりで……」

 心当たりはある。

 確かに腕は増えて同時にできることは物理的には増えたのだけど、それをどう動かすか考えることで時間を取られて止まってる手が多いような気もする。

「そもそも、手がたくさんあってもさ、」

「つまり、手を同時に使うことに慣れれば作業効率が向上する……?」

「うん? あー、まぁそういうことでいいや。うん、同時に手を使うことに慣れれば作業効率も上がるんじゃない?」

「じゃあ練習してみるよ」



 数日間みっちり箸で豆をつまんで別の皿に移すという練習をした。

「どう? 作業効率は上がった?」

「1000個のカラフルな豆を箸で1時間で寄り分けられるようになったよ!」

「おお、すごいじゃん」

「それをするために、補助脳を三つ拡張したんだよね……」

「へぇ、まぁ頭を増やしたら手の扱いも上手くなるよね」

「うん、これで作業効率もめちゃ上がるってもんよ!」

「そういや、補助脳って増やすと頭良くなるの?」

「え? 確か考えるのが早くなるぐらいだったような……」

「ふーん、それでか……」

「何が?」

「ここ数日作業進めないで練習ばっかりしてたんだろうなって思っただけ」

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