第823話:ハジーク~謎の小部屋~
少し痛む頭をさすりながら目を覚ますと、見覚えのない小部屋だった。
「どこだぁ、ここは……昨日は確か、あー、飲みすぎて全然思い出せん」
まぁ、こういうことはよくあることだ、慌てることじゃあない。
飲みすぎて記憶をなくしてここがどこだかわからないなんて日常茶飯事って奴だ。
「だいたい落ち着いて思い出してみれば何とかなるもんなんだよ……、いやダメだな、ここは全く見覚えがねぇ。そもそもこんな変な、なんだ? 木片を組んでるのかこれ、こんな壁初めて見たな」
うーん、近所にこんな建物あったかねぇ? いや、一晩で大地の反対まで移動させられていてもおかしくない世界ではあるが……
誘拐される覚えもねぇ、たぶん迷い込んだんだろうが、まぁ入れたなら出られることは間違いない。
少なくとも今まではそうだった。
うーん、困った。
壁の材質を見てる場合ではなかったかもしれない。
そもそもこの小部屋、出入り口のようなものが一切見当たらないのだ。
「困ったな……、どうやって入って来たんだ?」
天井を見ても穴が空きそうなところはないし、床もめくれない。
「とすると、ここかね」
木片の組まれた壁、たぶんパズルになっていて解けば開くんだと思う。
「ダメだ、解けねぇ」
パズルになってると思ってた壁は押しても引いてもずらそうとしても動くことはなく、単純にそういう壁っぽかった。
「八方ふさがりってやつだな……。しゃーねぇ、ひと眠りしてから考えるか」
草を編まれた少し柔らかい床板に寝転がり、目を閉じる。
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