第805話:コノツキ-ミクリ~夜空の光~

「おや、今日はいつもに増して星が多いな」

 夜、いつもように空を見上げたら知らない星が増えていることに気付いた。

 最近は減る一方だと思っていたんだけど、こうしてたまに増えているのを見ると少しうれしくなる。

 あれとあれとあれとあれ、繋いで意味を持たせる正座を編んでローカルデータベースに記録する。

 1季後にはまた夜空の様相も変わっているだろうけど、今の記録を残していくことに価値があるので、夜空を眺めて新しく生まれた光を記録する。


「あ、流星」

 夜空に光の線がスッと走り、少し大きく光った後に消えた。

 それが続いて、以前からあった1つの大きな光が消えた。

「あー、1つ消えたかぁ」

 突如現れた流星群はいつも大きな光に集まって、星を1つ消してしまう。

 どういう現象なのかはいまいちわからないが、結構頻繁にある。

 せっかく星が増えた日なのに、同時に星が消えてしまうとは。

 少しかなしい。




「夜の星?」

「ほら、この世界って宇宙が無いって聞くじゃない? だから夜の星ってのがどういう物なのか全然わからなくて」

 詩を書く、同郷の友人に空の星のことを聞かれた。

「あんたって、星の記録つけてるじゃない。だから詳しいと思ったんだけど……」

「あーうん、夜の星ね。結構見た感じはあの世界と同じだよ。夜暗くなると少しづつ光り始めて瞬いたり流れたり、たまに光らなかったり変な流れ星があったりするけど、だいたい同じ。まぁ季節によって全体の配置は変わったりはしないぐらいかな……」

「ふんふん、なるほどね。んー、少しイメージできた。ありがと」

 そうお礼を言われてしまったが、私はなんとなくで記録を取っているだけで、星がどういう物なのかも知らないんだ。

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