第775話:ナイラム・ズトラ~空論空転~

「もし、見えた時にあの角度なら」

「空論でしょ、あんたはいつももし~なら~で話すじゃん」

「そうだけど」

「そういう話方の時にそうなった試しがないでしょ」

「まぁ、そうだけど」

「だからさ、もうそういう話はいい」

「じゃあ何の話をしようか」

「仮定の空論じゃなければ聞いてもいいかな」

「そうだな、じゃあもし明日、」

「またもしじゃん! 今もし~って話嫌だって言ったのになんでもし~って語り始めたの!?」

「いやこれはもしもじゃなくてね?」

「じゃあなんでもし~で話始めたのさ!」

「もし明日晴れたら確実に起きるって話をさ」

「最初の時点でもしなんだよ! 明日傘持ってきなよ?」

「なんで雨の前提なんだよ」

「あんたのもしもは外れるからよ」

「じゃあここでもしも明日雨だったらって言ったら」

「そのもしもが外れるから雨になるでしょ」

「もしももしもが外れなかったら?」

「外れるから心配ないでしょ」

「外れないかもしれないだろ!」

「いやいままで一回も当たった試しないじゃん!」

「だからもしも当たったらだろ」

「ああ、もうやめやめ。結局もしもの話しかしないじゃん!」

「えぇ、いいじゃんか」

「いやー」

「もし、ちゃんと実現する話なら聞いてくれるかい?」

「その語りだしがもしもだから聞かない」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る